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楕円曲線暗号

近日、安全で信頼性の高い情報化社会の実現のために暗号技術は必要不可欠なものとなっている。暗号技術には、送信者と受信者が同じ鍵を使用する共通鍵暗号と異なる鍵を用いる公開鍵暗号がある。公開鍵暗号系として代表的なものは、1976年に発表されたRSA暗号が有名である。その中でも,急激なネットワークの普及やコンピュータの性能の上昇に伴う、高速処理によって現在の鍵長では安全性が保てなくなっている。そこで、楕円曲線暗号に関する研究活動が盛んに行われている。楕円曲線暗号は1985年にKoblitz博士とMiller博士とにより独立に発明された暗号技術であり、次世代の公開鍵暗号として注目されている。楕円曲線暗号の特徴としては、鍵長の短さである。80ビット秘密鍵暗号相当の安全性を保つために必要な鍵長は、RSA暗号では1024bitsであるのに対して楕円曲線暗号は160bitsで同等の安全性を保つことが出来る。さらに、処理能力の向上によりRSA暗号の鍵長が3072bits、必要となったとき、楕円曲線暗号は256bitsで同等の安全性を保つことが出来る。暗号化鍵が長いほど安全性はより高くなるが、逆に処理能力が遅くなり、多くのメモリを必要とする。そのため、暗号化鍵の長さは短いほうが望ましいと言われている。楕円曲線暗号は鍵長が短いため、高速処理が可能であり、ハードウェア実装を行った場合、より小規模な実装が可能であるため使い勝手の良い新技術としてデジタルコンテンツ保護規格に採用されるなど使用例が増加している

ペアリングに関する研究
  

ペアリングとは楕円曲線上で定義される双線形写像であり,2000 年以降,暗号プリミティブとして広く利用されるようになった。具体例として ID を公開鍵として利用可能な IdentityBased Encryption,既存方式より短い署名長で済む Short Signature などがあり,従来にない特性を有するプロトコルを構成することが可能である。しかし,主要な暗号要素技術と比較して計算コストが大きく,効率的な演算アルゴリズムが求められている。

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